先月,仲秋の名月について書きましたがそろそろ後の月がきます。
今年は何日になるだろうと,いつもお世話になる旧暦を載っけてあるサイトを見に行ったら,今日は重陽の節句ではありませんか!!! 重陽の節句といえば菊ですが,もう亡くなって45年になる祖父がわりの大叔父が,たくさんの大輪の菊を育てていたのが今でも目に浮かびます。子どもは近づいてもいけませんでした。
五節句の中でも重陽の節句を祝う習慣は一般にはもうないでしょうね。うちのあたりでは私の子ども時代でさえ記憶にありません。菊といえば連想ゲームで黄色。無理かな?(笑) でもなんか黄色なんです。なんででしょう。大叔父が育てていた菊だって他の色もたくさんあったんですがねぇ。
ところで,本の虫だった私としては菊といえば「雨月物語」と「聊斎志異」に一言触れなくてはいけません。なんちゃって。若いころは「菊花の約」のほうに思い入れがありましたが,今になると,とんでもない愚かさの中でしょうもない横死をする菊の精(「黄英」)により親しみを感じます。死んでのちも酒を注がれるとよく茂った,というのが愛おしい。あっ,ここに黄色が出てきますね!! これが刷り込みの原因だろうか。
こんな横死をする若い男(実は菊の精ですが)を愛おしいと思うのも,ベニスで死ぬのと似た加齢の表れなのでしょうか。(笑)
さて,この話,誰の訳で読んだんでしょうか。今回調べてみたけど分かりませんでした。例の太宰が「清貧譚」という翻案を書いていますが,これを読んだはずはありません。「馬」「陶」という名が記憶にありますから。まぁ,それはいいことにしましょう。終わり方の現実との近さがいかにも中国的です。
最後に一言。どうしてネット上で「菊花の約」の原文が見つからないの。著作権に問題があるとも思えないのに。リンクが貼れないよ。(泣)
あっ,肝腎の話を忘れるところでした。今年の後の月は10月20日の水曜日のようです。
追記:
「菊花の約」見つけました。しかし,ものすごく読みにくい。もう少し,読みやすく整形したところないかなぁ。ご存知の方は教えてください。
追記2:
あまりにも読みにくいので,先日juneさんのコメントにもあった涅槃を縦書き文庫の開発日誌さんのところを参考にして使い,縦書き表示のものを作ってみました。(2013-08-21に移転され,移転に伴いブログの名称も変わっているようですが,リンクテキストはもとのままにしておきます。―2013.8.29追記)
こちらからアクセスしてお読みください。javascriptをonにしておく必要があります。「菊花の約」は2番目の短編になります。左下の表示が10%くらいになったところが始まりです。多分。8頁から始まります。
追記3:
本日(11/27),「黄英」と「清貧譚」の縦書きバージョンを作ったのでこの記事も読み直したんですが,知らないで読むと横死する菊の精の名が黄英のように読めますね。これは亡くなる少年の姉の小字で,死ぬほうのは三郎です。これも小字でしょうかね。
「菊のこと。」への4件の返信
o6asanさま こんにちは
菊花の約ですが、播磨の国、加古と出ていましたので、
すぐ近くの物語だと興味深く最後まで読ませていただきました。
昔から本を読むのが苦手でして、この物語も初めてです。
同じ日を過ごすにしても、節句からこういうのが出てくるのがすごいです。
私の何倍も心豊かに過ごされているんだなと羨ましい限りです。
juneさん,こんにちは。
> 播磨の国、加古と出ていましたので、すぐ近くの物語だと
> 興味深く最後まで読ませていただきました。
そうですね。私の勘が正しければ,古の郡割りだとjuneさんのところのお隣あたりになるのでしょうか。
ところで,この間juneさんとのお話に出てきた涅槃を利用して,縦書きバージョンを作ったのですが,間に合いましたでしょうか。私のリンクからお読みいただいて,横書きのままだったとするとものすごく読みにくかったろうと思います。
縦書きにしてから自分も粗読みしてみたのですが,それはもう違います。やはり,日本語は縦書きに限ります。
それとも,子どものころから慣れているだけにすぎないのか(???)
ネットの青空文庫を読ませていただくときは,縦書き読みのリーダソフトを利用させてもらっています。ありがたいです。
こんにちは
>古の郡割りだとjuneさんのところのお隣あたりになるのでしょうか。
よくおわかりで!隣の郡です。
縦書き、間に合いました、横書きに比べるとやはり読みやすいですね!
>縦書き読みのリーダソフトを利用させてもらっています。ありがたいです。
そういうのがあるのですか?(._.) φ メモメモ
こんにちは。
>> 縦書き読みのリーダソフトを利用させてもらっています。ありがたいです。
> そういうのがあるのですか?(._.) φ メモメモ
私が使っているのは「扉~とびら~」(http://karasu.xrea.bz/)というのです。もう更新が止まっていますし,探せば他にもあるのでしょうが,このソフト「青空文庫」の仕様に準拠しているし,ダウンロードしなくてもクリップボードから読み込めるんです。段組みや色なども変えられますので便利です。ひとつ不満があるとすれば,JIS補助漢字に対応していないことでしょうか。